デザイン力と徹底したコスト管理で躍進する住宅メーカー、アールプランナーが驚異的な決算を発表しました。
売上高は前期比25.3%増、営業利益に至っては306.2%増という圧倒的な成長を達成しました。
この急成長を支えているのは「注文住宅」「分譲住宅」「不動産仲介」を三位一体で展開する独自のビジネスモデル。住宅市場全体が伸び悩む中、なぜ同社だけがこれほどの業績を残せたのでしょうか?
さらに、現在のPERは約5.6倍と驚くほど割安な水準にあります。この成長企業の株価には、どれほどの上昇余地があるのでしょうか?
首都圏進出や新技術導入など、次々と打ち出される成長戦略にも注目が集まります。アールプランナーの決算数字から見える成長の秘密と今後の株価予想を徹底分析しました。
*2025年3月14日に2025年1月期 本決算短信の発表がありましたので反映しています。
アールプランナーはどんな会社?
アールプランナー(東証:2983)は、「デザイン×テクノロジーで人々の住生活を豊かにする」というミッションを掲げる住宅メーカーです。
同社の強みはその独自のビジネスモデルにあります。「注文住宅」「分譲住宅」「不動産仲介」の三位一体による「ワンストップ・プラットフォーム」を構築し、顧客のあらゆる住宅ニーズに対応しています。これにより、情報の共有や相乗効果を生み出し、効率的な経営を実現しているのです。
事業の中心は東海エリア(愛知県)ですが、近年は首都圏エリアへの展開も積極的に進めています。2023年5月には東京本社を設立し、東京都を中心に展示場やショールームの開設を加速させています。2025年4月には埼玉県所沢市に初めての拠点を開設するなど、着実に事業エリアを広げているのが特徴です。
また同社はデジタルマーケティングにも力を入れており、Webサイトやソーシャルメディアを活用した独自の集客戦略も強みとなっています。
アールプランナーの評判は?
アールプランナーの評判を客観的に分析すると、いくつかの側面から高い評価を受けていると判断できます。
まず、同社の注文住宅ブランド「Fの家」が2021年度グッドデザイン賞を受賞しています。これは同社のデザイン性や品質に対する専門家からの評価と言えるでしょう。
さらに業績面では、特に2025年1月期において顕著な成長を遂げています。前期比25.3%増の売上高40,185百万円、前期比306.2%増の営業利益2,163百万円という驚異的な成長は、顧客からの支持があってこそ実現できるものです。
また同社は2022年11月に「ARR PLANNER OWNERS CLUB」というオーナー向けアプリをリリースするなど、購入後のサポートにも力を入れています。このようなアフターフォローの充実もリピート購入や紹介による新規顧客獲得につながっていると推測されます。
これらの事実から、アールプランナーはデザイン性、コストパフォーマンス、アフターサービスの面でバランスの取れた評価を得ていると考えられます。
アールプランナーの配当は?
アールプランナーの配当は以下の通りです。
- 2023年1月期:年間15.00円
- 2024年1月期:年間15.00円
- 2025年1月期:年間45.00円(中間15.00円、期末30.00円)
- 2026年1月期(予想):年間50.00円(中間20.00円、期末30.00円
アールプランナーは2023年1月期から配当を開始し、2025年1月期に大幅に増配、2026年1月期も増配が予想されています
アールプランナーの決算短信分析
アールプランナーの決算短信分析の結果をご紹介します。なお、決算分析の手法は下記の本を参考にさせていただきました!
>> はっしゃん株の本!10倍株の探し方の評判と理論株価や決算分析シートの内容も!
3-1.アールプランナーの業績推移

アールプランナーの過去5年間の業績推移を見ると、着実な成長軌道にあることがわかります。
2021年1月期から2025年1月期までの売上高は、22,012百万円→28,057百万円→31,244百万円→32,070百万円→40,185百万円と推移し、5年間で約1.8倍に成長しています。特に直近の2025年1月期は前期比25.3%増と大きく伸長しました。
利益面では、2022年1月期に営業利益1,519百万円を達成した後、2023年、2024年と2期連続で減益となっていましたが、2025年1月期には2,163百万円と過去最高を更新。前期比306.2%増という飛躍的な成長を遂げています。
セグメント別では、主力の戸建住宅事業が売上高39,893百万円(前期比27.2%増)、セグメント利益3,109百万円(前期比126.8%増)と好調で、全体の業績を牽引しています。
2026年1月期の業績予想は、売上高44,500百万円(前期比10.7%増)、営業利益2,400百万円(前期比10.9%増)と、引き続き増収増益が見込まれています。
3-2.アールプランナーの資産推移

財務状態の推移を分析すると、事業拡大に伴う資産規模の拡大と、財務基盤の着実な強化が見て取れます。
総資産は2021年1月期の16,022百万円から2025年1月期の28,856百万円へと約1.8倍に拡大。特に流動資産の増加が顕著で、現金及び預金は2025年1月期に1,967百万円増加し、5,357百万円となりました。
純資産も2021年1月期の2,295百万円から2025年1月期には5,664百万円へと約2.5倍に増加。自己資本比率は14.3%から19.6%へと改善し、財務基盤の強化が進んでいます。
有利子負債については、事業拡大のための資金調達を継続しているものの、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は2024年1月期の2.9倍から2025年1月期は2.0倍へと改善しており、財務レバレッジの適正化が進んでいます。
3-3.アールプランナーの株価と理論株価、資産価値・事業価値の推移

アールプランナーの株価(2025年3月27日時点)は1,510円で、2025年1月期の1株当たり当期純利益270.13円を基にしたPERは約5.6倍と、成長企業としては割安な水準にあります。
理論株価については、成長性を考慮したPEG(PER/利益成長率)で分析すると、2025年1月期の利益成長率は547.9%で、PEGは0.01倍と極めて低い水準にあります。通常、PEGが1倍以下であれば割安とされるため、現在の株価は理論的にも割安と判断できます。
資産価値の面では、2025年1月期末の1株当たり純資産(BPS)は1,065.61円で、PBR(株価純資産倍率)は約1.4倍。これは東証平均と比較しても低い水準であり、資産価値の観点からも割安感があります。
事業価値に関しては、2025年1月期のEBITDA(利払い前税引き前償却前利益)は約2,404百万円で、企業価値(EV)/EBITDAは約3.3倍と、同業他社平均の6〜8倍と比較して低く、事業価値の観点からも割安と言えます。
3-4.アールプランナーの売上に対する各種利益や販管費比率の推移

収益性の推移を分析すると、2025年1月期における大幅な改善が目立ちます。
売上総利益率は、2021年1月期の17.4%から2024年1月期には14.9%まで低下していましたが、2025年1月期には16.8%に回復。販売価格の適正化やコスト管理の強化が奏功したと考えられます。
販管費比率は、2021年1月期の14.6%から2025年1月期には11.4%まで改善。
営業利益率は2024年1月期の1.7%から2025年1月期には5.4%へと大幅に向上しています。
経常利益率も同様に2024年1月期の1.1%から2025年1月期には5.0%へ、当期純利益率も0.7%から3.6%へと大きく改善しており、全般的な収益性の向上が見られます。
これらの改善は、規模拡大による固定費の吸収効果に加え、デジタルマーケティングの効率化や適正価格での販売戦略が功を奏した結果と推察されます。
3-5.アールプランナーのROA、ROE、PER、理論PERの推移

資本効率や投資指標の推移を見ると、2025年1月期における顕著な改善が確認できます。
ROA(総資産当期純利益率)は2024年1月期の0.9%から2025年1月期には5.0%へ、ROE(自己資本当期純利益率)も5.2%から28.7%へと大幅に上昇しています。これは利益の拡大と資産効率の向上が同時に実現した結果です。
PER(株価収益率)は、2024年1月期末時点では約36.5倍でしたが、2025年1月期の利益急増により約5.6倍まで低下。理論PERを成長率と同等(約30倍)と仮定すると、現在の株価はかなり割安と言えます。
PBR(株価純資産倍率)も約1.4倍と東証平均より低く、バリュエーション面でも魅力的な水準にあります。
3-6.アールプランナーのキャッシュフロー

キャッシュフローの状況を分析すると、2025年1月期における顕著な改善が見られます。
営業活動によるキャッシュフローは、2022年1月期と2023年1月期にはそれぞれ-2,456百万円、-3,066百万円とマイナスでしたが、2024年1月期には608百万円のプラスに転じ、2025年1月期には1,948百万円と大幅に改善しています。これは税引前当期純利益の増加に加え、在庫回転率の向上や債権回収の効率化が進んだ結果と考えられます。
投資活動によるキャッシュフローは、展示場やショールームの開設などの設備投資により継続的にマイナスとなっていますが、2025年1月期は-323百万円と前期の-468百万円から支出が減少しています。
財務活動によるキャッシュフローは、2025年1月期には289百万円のプラスとなっており、成長のための資金調達が継続されていることがわかります。
現金及び現金同等物の期末残高は、2025年1月期末で5,121百万円と、前期末比1,915百万円増加。手元流動性は十分に確保されており、財務面での安定性が向上しています。
4. アールプランナーの株価チャート分析



アールプランナーの株価チャートを分析すると、2025年1月期決算発表後に大きく上昇していることがわかります。これは市場が同社の業績回復と成長性に対して高く評価した結果と言えるでしょう。
技術的分析では、株価は短期、中期、長期の全ての移動平均線を上回っており、強い上昇トレンドにあります。RSI(相対力指数)は70を超える水準にあり、短期的には買われすぎの状態にありますが、MACD(移動平均収束拡散指標)はプラス圏で推移しており、中期的な上昇トレンドが継続している可能性が高いです。
出来高も増加傾向にあり、市場参加者の関心が高まっていることがうかがえます。ただし、急激な株価上昇後には調整局面が訪れる可能性もあるため、短期的な変動には注意が必要です。
5. アールプランナーの株価が急上昇!今後の株価予想は?
アールプランナーの株価は2025年1月期決算発表後に急上昇していますが、今後はどうなるでしょうか。
中長期的な株価上昇の可能性は高いと判断します。その理由は以下の通りです。
第一に、業績の成長性が顕著です。2026年1月期も売上高10.7%増、営業利益10.9%増と二桁成長が予想されており、成長トレンドは継続する見込みです。
第二に、バリュエーションの割安感があります。現在のPERは約5.6倍と、成長企業としては極めて低い水準にあります。類似企業の平均PERが15〜20倍であることを考慮すると、まだ上昇余地は大きいでしょう。
第三に、事業戦略の明確さです。首都圏エリアへの展開強化や新技術の導入など、成長戦略が明確であり、これが投資家の信頼につながると考えられます。
ただし、株価に影響を与える外部要因もあります。金利上昇による住宅ローン金利の上昇や、原材料価格の高騰、住宅市場の変動などは注視すべきリスク要因です。
総合的に判断すると、アールプランナーの株価は、短期的な調整局面を経つつも、中長期的には上昇トレンドを維持する可能性が高いと予想します。
PERが同業他社平均並みの15倍まで上昇すると仮定すれば、理論株価は4,050円程度となり、現在の株価からさらに上昇する余地があると考えられます。
6. アールプランナーの決算分析まとめ
要点をまとめると以下の通りです。
- 2025年1月期:売上高40,185百万円(前期比+25.3%)、営業利益2,163百万円(前期比+306.2%)と大幅増収増益
- 収益性が顕著に改善:営業利益率5.4%、ROE28.7%と住宅業界平均を上回る水準
- 財務基盤強化:自己資本比率19.6%(前期比+2.5pt)、D/Eレシオ2.0倍(前期比-0.9pt)
- PER約5.6倍と成長企業としては割安な評価、理論株価は4,050円程度
- 2026年1月期も売上高44,500百万円(+10.7%)、営業利益2,400百万円(+10.9%)と成長継続を予想
アールプランナーの2025年1月期決算は、「成長」と「収益化」の両立に成功したことを示しています。独自のワンストップ・プラットフォームビジネスモデルが功を奏し、住宅市場の変化にも柔軟に対応できている点が強みです。
財務面では営業キャッシュフローが大幅に改善し、財務リスクが低減。株価評価においても現在のPER約5.6倍は成長性を考慮すると割安感があります。さらに配当増額など株主還元も強化されています。
首都圏エリア展開の加速や埼玉県進出、デジタルマーケティング強化など成長戦略も明確です。
住宅市場の動向や金利変動リスクには注意が必要ですが、中長期的な成長投資先として魅力的な銘柄と言えるでしょう。今後は四半期決算の進捗と首都圏戦略の展開状況に注目です。